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マネージャーの推しごと

第1章 出会い



「研磨くんバレー部だったんだ」
まぁ、いちおう…と言うバレー部のジャージを着た研磨くんは一年生の頃より目を見て話してくれた。
山本くんと絶対タイプ違うのになんで話していたんだろうという1年前の疑問は晴れて、知り合いがいることに少し安堵した

「苗字さんはこんなところで何してるの?」
ローファーからバレーのシューズに履き替えながら研磨くんが質問する。
「あーえっと…山本くんにバレー部のマネージャー誘われて、それで今日はけんがk…」
「マネージャーっすか!!!???」
私の話しを遮って響いたのは研磨くんの声ではなかった。体育館に居た全員がなんだ?とこちらを向く
「リエーフうるさい」
「えー!!だって研磨さんが美女と話してるからズルイと思って!!!」
リエーフと呼ばれたおそらく一年生の子は目をキラキラさせながら「マネージャーやってくれるんですね!俺1年の灰羽リエーフです!!!」なんて自己紹介をはじめるもんだから見学なんてもう言えない。先程の灰羽くんの声に集まって来た人たちが
「俺は犬岡走!よろしくっす!!」「俺夜久衛輔!きみ何年??」とテンション高い人たちが一方的に挨拶をするなか「はいはーい、困ってるでしょうが。いったん落ち着けって」両手をパンッと叩いて現れたその人から目が離せなかった。
低くて落ち着いた声、Tシャツからのぞく程よく筋肉のついたすらりと長い腕、つんと立った髪に高い背、見上げる私と目が合うとニッと歯をみせて笑った。あぁ…やばい。かっこいい。
顔に熱が集まるのがわかる
「俺は主将の黒尾鉄朗。分かんないことあったらなんでも聞いてくださいネ。」またわらう。
どきどきどき…心臓がうるさい。先輩が喋ってるのに…心臓少し静かにして。
「くろお…せんぱい…」ちいさくちいさく名前を呼んでみた。
「ん?」
コテンと首をかしげてもじもじしている私が話すのを待っててくれる。やばい、優しい。好き。
自己紹介しなくちゃ。私も名前覚えてもらってマネージャー頑張りますって伝えて、頑張る先輩のお手伝いをするんだ。
「顔がいいッ!!!!!」

「「「「……」」」」

しーんって聞こえそう。静かになったのに。
最悪だ。間違えた。なんなんだこの口
盛大にやらかした私は逃げるように体育館から走り出した。
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