第2章 練習!
「先輩送ってくれてありがとうございました!おやすみなさい!」
「ん、また明日な」
マンションの前で先輩とお別れ。もう少しお喋りしたかったけどこれ以上先輩の睡眠時間を奪ってはいけない。挨拶を済ませると先輩はひらひらと手を振って来た道を戻っていった。後ろ姿もイイ。本当私の推し完璧すぎない??なんなの。イケメンかよ
家に帰ってお風呂に入る。疲れていてもスキンケアだけはしっかりやって、夜のうちにお弁当作っちゃおう。
余ったお米で朝ごはん用のおにぎりを作った。
洗濯機は洗剤を入れてタイマーをセットする。朝起きたら干せばいいだけにしておこう。
朝練楽しみだなぁ。
今日はいろんなことごあったから寝れないだろうと思っていたけど疲れていたのか案外あっさり眠りにつくことができた。
懐かしい夢を見た。まだ小学生の頃、もらったお年玉でたまごとレタス、ウインナーを買った。病気がちな弟の看病に忙しい母の代わりにお米を炊いて、ちぎっただけのレタスとレンジで温めたウインナー、こげた目玉焼き。初めて作った不恰好な朝ごはんをお父さんもお母さんも妹もおいしいおいしいって、言ってくれた。それから料理が好きになったんだっけ…。
バレー部のみんなが美味しいって言ってくれて思い出した。
私の作ったご飯で誰かが喜んでくれたらいいな……。
ぴぴぴ、ぴぴぴと電子音が響く。寝ぼけながら携帯をみると山本くんだった。
「もしもし山本くん?」
「おっす苗字!モーニングコールしてやったぞ!」
そういえばふざけて黒尾先輩が言ってた気がする。本気にしてたのか…。
思っていたより早い目覚めだ。朝練って早いんだなぁ…。
「ありがとう。お礼になんか作っていくよ。」
「うお!まじか、やったぜ!」
電話越しにガシッとガッツポーズの音が聞こえる。
「じゃあ、また後でな!遅れんなよー。」
山本くんとの電話を終えて朝の支度に取り掛かる。
昨日たたまなかった洗濯物を箪笥にしまいながら何作ろうかなぁとぼんやりと回りはじめた頭で考える。