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紫の薔薇を貴方へ

第15章 紫の薔薇


 その後、俺は念のために一時的に別荘へと引っ越し、引き続き透くんに警備を頼んだが、怪しい人影もないまま月日が経った。
 メンバーには、あの騒動で俺の家に不法侵入者がいたこと、警備員を雇っていたことがバレてしまったが、最終的には隠していたことを許してくれた。
 そして、例の女性だが、彼女はあまりにも俺のことが好き過ぎてストーカー行為を続けていたらしく、やがて俺の住居を特定した後、独学でハッカー技術を学び、オートロックを解除する方法を身につけたらしい。
 それは恐ろしいことだったが、逆を考えるとそのオートロックの解除方法は他には知れ渡っていないということだ。もしあのオートロック解除方法のカードがあちこちで出回っていたら他の知らない人がまた侵入してくる恐れがあったからだ。
 とはいえ事件後は、マンションの管理人もオートロックのシステムなどを書き換えたりしてより厳重に管理してくれるようになった。鍵を失くした場合の連絡先も用意し、怪しいと思ったら人を入れないようにとマンションの住民にも再度告知をされた。
 それでもメンバーからは心配されて何度か気遣う話は振られたが、大丈夫だと適当に流している内にその件については触れられなくなり、やがて俺の生活も落ち着いてきた頃、警備員契約期間が終了した。
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