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紫の薔薇を貴方へ

第12章 外出時も


「外出時は気をつけて下さい」
 透くんに釘を刺されて三日後、俺はそろそろ食料を買いに行かなければならなくて出掛けていた。
 それに、念の為にベランダで煙草は吸うなとも言われた。地上から顔が分かるような高さではないが、そういう類の人たちが、どのような手段で行動をするかはいつだって予想はつかない。だから俺は、透くんに気遣うことなく換気扇の下で煙草を吸うことにした。
 俺が外出中も、透くん以外の警備員が周囲を見張っていてくれているらしいが、その気配をまるで感じたことがないので気にしたことはなかった。ただちょっと、透くんの代わりに来ていた警備員がよそよそしくて息がしづらかっただけなのだが。
 なら、透くんは平気なのか?
 なぜ今更こんなことに自問しているんだと俺は自分に困惑しながらさっさと買い物を終わらせる。目の前の信号が赤になり、足を止めた時だった。
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