第10章 二人生活
ということで、透くんは寝泊まり警備をしてくれることとなった。
といっても、俺は普段は昼夜逆転生活を送っている。俺が起きている間は、透くんは寝室で寝ているのだが、断固としてベットは使わないと床に寝袋を広げて寝ていた。
透くんが本当に寝ているのかは分からないのだが。
俺が夜中の雑談配信を終えて寝室に入ろうとすると、透くんはすでに起き上がって警備を始めますと寝起きとは思えない声で言って寝室を出て行く。荷物も少ないんだから散らかしたままでもいいのに、寝袋はいつも小さく丸めてあった。
俺は布団の中に潜って寝付くのを待った。その間リビングに行ったはずの透くんが何をしているのかはよく分からない。透くんは最初に会った時からそうだったが、足音が小さいのだ。本当にいる? と疑ってしまう程、気配すら感じない。
だから俺は透くんに寝泊まり警備を頼んだ訳だが。
ここ一ヶ月別の警備員がいる時は、結構気を遣って正直疲れるのが本音だった。今まで一人だったからだろうが、誰かがそばにいるというのが気が気でいられなかったのだ。透くんにはそんな気苦労は感じなかったのに、俺が誰かに対して疲れると思わなかった。
それもこれも不法侵入されてから、俺は自覚出来ないストレスを抱えていたのかもしれない。
とはいえ、病み上がりの透くんにいきなり寝泊まり警備させるのはさすがに悪かっただろうか。部屋は適当に過ごしてもいいとは言ってはいるが、テレビを見ている音を聞いたことはない。なんなら風呂もいいと言っているのだが、使っているのかも怪しい。いつも綺麗だからだ。
けど、透くんが汗臭いと思ったことはないんだよなぁと色々考えている内に、俺はいつの間にか寝落ちしていった。