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紫の薔薇を貴方へ

第7章 状況


『心配かけて申し訳ございません』
 最初に届いたメッセージはその一文だった。ショック過ぎて無事だったのというメッセージも送れていなかったのに、透くんは既にこちらの事情が読めているみたいだ。
『こっちは大丈夫。心配しないで』
 心配するのも体に毒だろうと俺がそう返信すると、透くんが自ら状況を説明し始めた。
 腹を刺されただけで命に別条はないこと、すぐには退院してまた警備に戻るとのこと。
 しばらくは休んでよと言ったのだが、それは出来ないと一点張り。俺のファンとしてそばにいたいのかなぁなんて呑気に考えていたら、次の返信に度肝を抜かれた。
『ストーカーの犯人はまだ見つかっていないです』
 ……え?
 じゃあ昨日の男はなんだったの、と聞いてもすみませんと謝るばかりで説明はなし。俺の家の直前で事件が起きたのに秘密なのかと聞けば、直接会って話すまではと透くんは沈黙を守る。
 ならば見舞いに行くからどこの病院にいるのか聞き出し、俺は出掛ける準備をした。
 となると、見舞いの品も持っていかなきゃいけないのか。
 そこでようやく俺はドズルさんに連絡をし、今の状況を説明した。見舞いに何持って行ったらいいかの相談をするつもりなだけだったのだが、それは大変でしたねと返され、今日は撮影を休んで下さいと配慮をされた。こういう時の手際は本当に早い。いやいや、いつも早いけどね?
 ということで、俺にとっては起きているのも珍しい昼間に、透くんが入院している病院へ見舞いに行ったのである。
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