【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第6章 回帰の術式※
「…どうしたのぉ?行かないの?」
後ろから耳元で悟の声がした。
仁美はビクッと肩が跳ねて、悟を見上げた。
「歓迎されてるじゃない。」
ニヤッと笑って、悟は仁美に言った。
歓迎されているのだろうか…。
仁美は一抹の不安を感じながら、一歩前に踏み出した。
ズシンと誰かの簡易領域に入った感覚が、全身を包んだ。
しかし、今震えているのは、この呪術師の方だろう。
自分より圧倒的な呪力の主を、自身の簡易領域の中に入れてしまったのだから。
2人の呪力に挟まれて、仁美は全身がゾクゾクする様だ。
攻撃しにきたのではない、むしろ助けて欲しいのだ。
この回帰の術式の謎が、もうすぐ分かる。
仁美はゴクッと唾を飲んで、呪術師の家の中に入って行った。
薄暗い部屋の中に居たのは、初老の男性だった。
少ない電気だけで、部屋が照らされていて、内装はどこかの映画で見る呪術師の姿そのものだった。
呪術師としての活動内容も、存在意義も、日本とは全く違う事が分かる。
(…ミゲルの村も、こんな感じの呪術師なのだろうか。)
仁美は日本以外の呪術師が珍しい、ミゲルの事を思い出した。
通訳の人に、まずは自分達はお願いしにきたのだと伝えて貰った。
呪術師はチラッと悟を見て、簡易領域を解いてくれた。
悟は自分から何か話す事はしないのか、後ろの方で腕を組みながら、その光景を見ていた。
領域が解かれてホッとしたので、仁美は袖をめくって術式の模様を見せた。
ガイドを介さなくても、その表情が術式を知っていると、言っている様だ。