【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第19章 最終章
夢の中で見た女の子が目の前に居て。
ポロポロと涙を流すその顔を見たら、もう止まらなかった。
「…抱いていい?」
そう聞いても答えを聞く前に悟の手は伸びていて、泣いている仁美をギュッと抱き締めた。
初めて触れたのに、前から知っている様な感覚だった。
心臓がぎゅっと締め付けられる様な感覚の後に、感じた事の無い温かい気持ちが体全体を駆け抜ける。
うっうっと嗚咽を漏らしながら、仁美の腕が悟の背中に回った。
やっぱり僕は、この感じを知っている。
愛しいと。
人をこんなにも慈しむ気持ちは初めてなのに。
何故か昔から知っていた様だ。
「…僕は君の名前を知っている…。」
悟の言葉を聞いて、仁美は分かった。
21年間置いてきてしまった悟達の魂は、この目の前の悟の中にある。
あの回帰の全てが無駄では無かった。
こんなの…奇跡だ…。
あの呪いがこんな奇跡を起こすなんて考えられなかった。
それでも、目の前の悟と触れられている腕が現実だと教えてくれる。
「……仁美…。」
悟は仁美の顔に触れると彼女の唇にキスをする。
まるで長い長い呪いを解いた様なキスに、仁美は目を瞑った。
何でこんな事が起きたのか。
そんな難しい事は後で考えよう。
今はこの幸せだけを噛み締めて、悟と2人抱き合っていたい。
もう離れない。
悟との幸せが時間が続く中、もう回帰は起こらなかった。
21回目の回帰でようやく、仁美は呪いの因果を断ち切った。
ー完ー