【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第6章 回帰の術式※
自分が仁美を愛していたかもしれないなんて、そんなあり得ない事なんて、思いもしなかった。
あの時決めたじゃないか。
もう2度と誰にも心を預ける事はしないと。
周りには信頼の出来る、気の良い仲間が沢山いる。
見守りたい、可愛い教え子達も居る。
誰かと寄り添い、頼りにするなんてもう絶対に出来ない。
そんな相手は、生涯傑だけだ。
その傑ですら、この孤高の渇きは満たされなかった。
ただ、心の渇きは満たせた。
もう一生あの時のような多幸感は味わう事は出来ないだろう。
なのに、仁美に触れたほんの少しの瞬間。
傑が居なくなって、ずっと渇いていた心が、ほんの少し満たされた気がした。
仁美に懐かしい友人の残穢を感じたからだろうか。
いや、あの瞬間に感じたのは、ただの怒りだった。
そして、今仁美に感じる感情が何なのかは、分からなかった。
だから触れてみて、その感情を確かめたかった。
それを拒否する仁美に、憤りを感じていたのも確だ。
「…まぁ、でもここまでか…。」
せっかくこの場所まで来たのだから、術式の結末位は見て帰ろう。
そして、日本に帰ったら、仁美の望むように距離を置こう。
例え明日術式が解けたとしても、仁美が悟を望む事は無いのだろう。
それは彼女の過去に、もう悟との決着は着いているからだ。
分かっているのに、本能がそれを拒否しているようだ。
悟はぎゅっと拳を握った。