【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第6章 回帰の術式※
仁美は早速、ベルリン行きの航空チケットを取った。
乗換2回…遠い。
ベルリンに着いてからの、呪術師の居る場所までの地図を貰っていたので、どうにか1人で行けそうだ。
「…………………。」
(私のスマホはハッカーにでも狙われているのだろうか…。)
空港で見かけた悟に、仁美は遠い目をする。
「面白そうな所に行くね。」
そう言って同じ飛行機のチケットを見せてくる悟に、もう何も言う気力も無かった。
仁美は無言で搭乗口に向かって、席に座る。
当たり前の様に隣に座る悟に、もはや何も言う事は無かった。
悟は仁美がベルリン行きのチケットを取った情報は持っているが、呪術師に会いに行くという情報は無いだろう。
仁美は窓の外を見ながら考えた。
もう悟に回帰の事を隠すのは難しそうだ。
隣に座っている悟をチラッと見る。
彼に、何を話せばいいのだろうか。
20回も彼のせいで回帰していると、そんな事を彼に伝えたい訳じゃ無い。
全てを話すには、またあの虚しい時間を過ごすだけの様な気がして、そんな事を伝える気分にはならない。
「…私、呪詛師の術式にかかって、死んで回帰するを20回繰り返しているんです。」
仁美は悟の顔を見ずに、ポツリと言った。
「…凄い話だね…。」
目隠しをしている悟が、どんな表情で言っているのか、チラッと見ただけでは分からなかった。
「ちなみに、その呪詛師は、五条さんが殺してます。1ヶ月ほど前に。」
そう言った時の悟の表情は、少し真顔になった。
心配するのは、やはり縛りだ。
「その生得術式の家門がドイツの村にあると分かったので、ソコに向かっているんです。」
着いてきても面白く無いよ、と言う気持ちを込めて悟に言った。