【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第5章 新たな出会い※
「…今は、友達を助ける事だけを考えよう。」
その後の彼の苦悩は、悟が受け入れてくれるだろう。
今は、何もしたく無いと、塞ぎ切っている憂太を、早くこの場所から退かす事が、今回与えられた任務だ。
憂太は暫く仁美の手を見て、オズっと自分の手を差し伸べた。
「「!?」」
憂太の手が仁美の手に触れた瞬間に、仁美に掛かっている術式の模様が、急に赤く光った。
心臓から、全身に流れる血液が熱を持った様に熱くなった。
初めてのその感触に、仁美は顔を顰めて、憂太を見た。
憂太もまた、同じ感覚に陥っている様だった。
憂太の感情が乱れて、一瞬、折本里香の呪力が大きく暴走した。
七海が背後で、戦闘態勢に入ったのが分かった。
そのまま折本里香の全貌が現れるのでは無いかと、危惧したが、術式の光は一瞬で治って、見えていた折本里香の腕もそのまま消えた。
「………………。」
仁美は呆然と、その光景を見ていた。
20回の回帰で、こんな事は初めての事だった。
仁美は触れている憂太の手を、ギュッと握った。
憂太が怯えた様に、仁美を見上げる。
術式の模様が落ち着いた今も、鼓動はまだ熱を持っている様だった。
「…早く、ここを出よう…。」
仁美は憂太の手を掴むと、彼を起こした。
下を向きながら歩き始める憂太に合わせて、仁美もゆっくりと、七海の横を通った。
チラッと七海を見たら、彼の目は鋭く仁美を見下ろしていた。
その目は、今の現象を説明しろと言っている様だった。
仁美はサッと七海から顔を逸らした。
自分でも分からない出来事を、七海に説明出来ないからだ。