【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第5章 新たな出会い※
そこは、話に聞いていた以上の、惨劇な状態だった。
ロッカーから流れている血が、床まで滴っている。
そのすぐ横で蹲っているのが、乙骨憂太だ。
憂太は、仁美が入って来ても、顔を上げなかった。
「…乙骨君…。」
仁美が声をかけると、憂太を守る様に、背後から両腕がズズっと現れた。
折本里香の腕だった。
彼女が出て来たと言う事は、憂太自身が仁美の訪問を歓迎していない様だ。
完全体まで程遠い、彼女の姿に、仁美はそれでも意識が遠くなる。
「…放っておいて下さい…。」
それは自分には関わらないで、折本里香を刺激しないでくれと言う事だろう。
仁美はチラッとロッカーを見た。
憂太と折本里香を放っておいて、あのロッカーの人物を救出出来るならとっくにしている。
何処で憂太の感情が荒ぶるか、分からないのだ。
まずは憂太を、この現場から移動させないといけない。
「…私は君を助けたい訳じゃ無い、君の友達を助けたいの。」
仁美の言葉に、憂太はピクッとした。
(…抗えない力に抗って、結局どうしようも無かった結果(未来)は、受け止めきれ無いほど、辛いだろう。)
憂太のその虚無感は、仁美が何回も味わったモノだった。
きっと、雄太も仁美と同じで、誰かに助けて貰いたいと願っていた時期はとっくに過ぎたのだろう。
「貴方を守るのは、自分だけだよ。」
だから、仁美は今回の回帰にかけている。
結局、周りに縋っても、未来を受け止めるのは自分自身でしか無いのだから。
「自分を守る方法は、五条先生が教えてくれる。」
仁美はゆっくりと憂太の前に手を差し伸べた。
折本里香はまだ動かない。