【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第4章 五条悟とは〜回想〜※
ギュッと抱きしめて来る彼女の腕が、悟を愛していると伝えてくれる。
(いつか仁美から話してくれるだろう。)
悟はそう信じて仁美を抱いて、目を瞑る。
夏の暑い日に、仁美と外で待ち合わせをした。
仁美は日傘を刺して、店の外で待っていた。
仕事で少し遅れると、連絡したはずだった。
中で待ってればいいのに。
悟はそう思って、仁美に声をかけようとした。
真っ直ぐに前を向いていた仁美の目が伏せられた。
悟は呼ぼうとした手を下ろした。
また、あの目だった。
アスファルトの照り返しが気持ち悪くて、悟は目を顰めた。
街中は、蝉の鳴き声より、車と、人の音の方が五月蝿い。
仁美はあの目で、何を見ているのだろうか。
悟が目を離さないでいると、仁美に声をかける人物がいた。
冥冥と憂憂だった。
冥冥に可愛がられているのは知っていた。
仁美は目線を下げて、憂憂の頭を撫でた。
それは久しぶりにあった可愛い幼子を撫でると言うより、もう会う事もない知人に別れを告げるような目だった。
悟の視界が狭くなり、仁美しか映らない。
その時に、たまに見せる仁美の顔が、別れの予兆を表している事を初めて知った。
愛おしい彼女が、自分から離れる事を考えていたと、気が付いた。
悟は沸き起こる感情に、全身の毛を逆立てた。
表面に現れない、微妙な負の感情を、感じ取ったのは、冥冥だった。
冥冥は、悟を見付けると、その表情に顔を歪ませた。
悟は冥冥に感情を悟られた事を、気にも止めずに、そのまま3人の元に歩き出した。