第4章 五条悟とは〜回想〜※

悟は下から仁美を見上げて、ぎゅっと目を顰める。

快楽に歪ませる顔も、紅潮している顔も、自分の動きに合わせて上下する目の前の胸も、全てが悟を昂らせる。

「…仁美。」

悟は仁美の頭を掴むと、体を起こしてキスをする。

夢中になって、腰を振って舌を絡ませる仁美を、薄っすら目を開けて見た。

何かを振り払う様に、必死に悟に喰らい付いている様だ。

たまに仁美はこうして、不安を解消する様に、悟を求めたり、何かに怯える表情を見せる。

彼女の経歴は至って、何も無かった。

ソレが過去のトラウマでは無いか、悟は念入りに仁美を調べた。

その様な事件は見当たらないのに、仁美はいつも、何かに追われている様だった。

「…悟…、もっとして…っ。」

恍悦と悲しみを含めた仁美の顔が、そう縋った。

悟は仁美を組み敷くと、仁美の足を持ち上げた。

仁美の少しの表情も見逃さない様に、自分が与える快楽に溺れていく仁美を見下ろす。

仁美は何か秘密を持っている。

悟にはまだ言えない秘密だ。

悟はグッと目を顰めて、仁美の望む様に、何も考える暇を与えないくらい、抱いた。

ビクビクと何度も、仁美が悟の下で果てるのを見て、悟はやっと自分の射精感に身を任せる。

「…仁美、もう出すよ…。」

そう言うと、グッと仁美を抱きしめて、悟は仁美の奥に何度目かの射精をする。

仁美は荒い息を吐いて、悟にしがみついていた。

射精が治るまで、悟も仁美を抱きしめて、その中に収まっていた。