【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第3章 五条悟とは※
幸せで、ただ抱き合っていた2人を思い出す。
コレはいつの記憶だろうか、それすらも分からないのに、ただ笑いあって、悟の腕の中に居た。
彼の腕の中が、仁美の全てだった。
何度回帰しても、絶対に恋に落ちた。
耳元で愛を囁き合った彼を、愛さない訳が無い。
『…説明してくれる?』
いつもと違う表情で再会を果たした。
そんなあの瞬間でさえ、一瞬で、再び彼を愛した。
(…やめて、私に関わらないで。)
仁美の見えない所で過ごして、幸せになって欲しい。
(私はもう…回帰したく無い。)
悟より愛する人を探さないといけないのだ。
それがどんなに難しい事なのか、悟は何も分かっていない。
今この瞬間すら、悟の腕が恋しくて仕方ないのに。
ポタポタッと仁美から涙が出た。
押さえ付けている気持ちは、涙の粒になって、床に叩きつけられる。
嗚咽が出そうなのを、グッと喉で堪えた。
早く帰らないと、誰かに見られてしまう。
こんな所で泣いている女なんか、目立つだろう。
仁美は顔の涙を拭っていると、グッと後ろから抱きしめられた。
その腕が誰かすぐに分かるから、仁美は目を顰めた。
「…ほら…。」
悟は仁美の顔を掴むと、自分の方に向けた。
「僕が知ってる仁美だ。」
悟はそう言って、仁美にキスをした。
眉間の皺が、怒っているのか、悲しんでいるのか、泣くのを我慢しているのかすぐに分かる。
泣くなら自分から離れた所で、こうして静かに泣くだろう。
仁美に触れたら、彼女がどんな反応をするか、手に取る様に分かる。