【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第3章 五条悟とは※
「困ります五条さん、私には関与しないと、お約束いただいたじゃないですか。」
仁美はグッと悟の顔を覗き込んで言った。
しかも報酬は前払いした。
ポケットの中の悟の手が、ぎゅっと握られた。
仁美を見下ろすと、襟が大きな高専の制服の首元から、情事の痕がしっかりと、残っていた。
悟はそのまま仁美に顔を近づけた。
「!?」
仁美は急な悟の動きに思わず後退りして行く。
悟がどんどん距離を詰めて来るので、仁美の背中は壁にぶつかった。
逃げられなくなった仁美の顔に、悟はグッと近付いた。
「…おかしいんだよね。」
思わず悟から顔を逸らした。
悟の声が耳元で聞こえる。
「君は僕を知ってるし、僕も君を知っている。」
悟の言葉に、ドクンと心臓が跳ねて、仁美は目を見開いて床を見た。
『こんな気持ちになったのは、初めてた。』
回帰の度に、悟が仁美に言った言葉が頭の中で響いた。
あの時の嬉しさと、絶望の気持ちがぶり返される。
落ち着け、コレはただの口説き文句だ。
悟は顔を顰めている仁美を見下ろした。
グッと悟の胸を仁美は押し返した。
少し後ろに下がった悟を、仁美はキッと睨んだ。
「…私には何の事か分かりません。」
仁美はそう言うと、悟に背を向けて、そのまま歩き出した。
悟が見えなくなって、仁美は足を止めて、顔を両手で覆った。
「…今更何なの…。」
仁美は歯を食いしばって、呟いた。
激しくなった鼓動が、耳の奥に響いていた。
ずっと、願っていた言葉を、悟を諦めた今聞かせられるなんて。