【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第3章 五条悟とは※
仁美の話を聞いて、傑は何とも言えない顔をする。
その顔を見て、仁美は申し訳なく思った。
別に、同情してもらいたい訳じゃなかった。
ただ、傑に言いたかっただけだった。
『大丈夫だよ、僕は仁美を忘れない。』
悟の腕の中で、何度この話をして、何度悟から同じ言葉を聞いただろうか。
その言葉だけを期待して、いつも初めましてから始める悟を憎んだ事は無かったが、辛かった事は確かだった。
傑は仁美の言葉を聞いて、仁美をぎゅっと抱きしめた。
「…大丈夫だよ…、もう回帰は起きないから。」
傑は仁美の前髪を掻き分けて、現れたおでこにキスをした。
傑のその言葉に、仁美の胸がドクンと高鳴った。
「仁美が、私を好きになるなら。」
その言葉が、心地よく頭の中で響いた。
そして、すぐに思い出されたのが、傑の死だった。
仁美は顔を上げて傑を見た。
傑は穏やかに笑って仁美を見ていた。
顔に出すな、気付かれるな。
今自分が、傑の死に胸を痛めている事を。
目の前の男は、悟と同じ位に、もしかしたらそれ以上に仁美の心情を読んでくる。
悟られたく無かった。
傑の回避出来ない死を。
「……そんな事言って、回帰が起きたら、恨むから…。」
皮肉を込めて、自分は上手く笑えているだろうか。
傑の笑顔は先程と変わらず、優しい笑みを仁美に向けている。
その笑顔にまた涙が出そうだ。
回帰は起こらないと、言い切ってくれた傑が、仁美の話を信じて言っている事が分かった。
悟は何処かで、仁美の話を本気に聞いていなかったのかも知らない。