【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第19章 最終章
その呪いの量はどの回帰よりも大きかった。
あれは回帰の呪いでは無い…。
………思い出した……。
未熟な呪詛師がかけた呪いは未完成で、回帰を起こす呪力も無く、ただ仁美の命を蝕んでいた。
その時の自分の感情が仁美を包んだ。
『嫌だ!死にたく無い!』
ただひたすらに自分の死を拒否する。
悟の手をぎゅっと握りながら、薄れていく意識の中で力無く彼を見つめた。
『……私が死んで、彼がそのまま生き続けるなんて考えたく無い。』
悟はいつか私を忘れて他の人を好きになってしまうのだろうか。
そんな事は耐えられない。
彼の隣に自分以外の女の人が居る事なんて許せない。
仁美が強く願ったその瞬間、覆っていた術式の模様が今と同じ様に黄金色に輝いた。
ー
ーー
ーーー
仁美の術式の模様が動き、体中に模様が広がる。
話には聞いていたけど、本当に回帰が目の前で起こると、動揺しかなかった。
何で回帰が起きたのだろう。
僕達は完璧な恋人だったじゃ無いか。
痛みで苦しんでいる仁美を抱き締める事しか出来ない。
きっと僕の声は仁美には届いていないだろう。
ずっと痛みに叫んでいる。
可哀想に、何故仁美がこんな目に合わなければいけないのか。
仁美のその姿を見て、悟も胸がはち切れそうな思いになる。
仁美の魂が、今世から消えそうだ。
僕から離れる事なんて、絶対にダメだ。
そんな事許されない。
仁美を連れて行くなら、僕も連れて行け。
悟はギュッと、術式の模様がある手を握った。
術式が黄金色に光り、仁美の体を覆って、その光が悟の体の中に入ってきた。
仁美の魂が、自分の魂に混ざる様な感覚。
悟はその意味が分かると、喜びに顔を緩ませ、仁美をギュッと抱きしめた。
仁美が死を拒んで僕を呪おうとしている。