【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第19章 最終章
まぁそうだとしても、また回帰したら挑戦しようなんて。
もう出来なくなったけど。
「ーとにかく、あなたは私の最後をしっかり看取りなさい!」
仁美はビシッと呪詛師を指差して言った。
呪詛師はその指された指を見ながら、ふぅとため息を吐いた。
『私の呪詩がきかなったお詫びだ。』
「え?」
急に聞こえた呪詛師の声が頭の中で響いた。
その事に困惑していると、呪詛師は何か呪詩を唱え始めた。
「?!」
途端に体に巻き付く様に描かれていた術式の模様が金色に輝いてその光が仁美を包んだ。
次の瞬間に頭の中に流れたのは、20年間の回帰の記憶だった。
仁美の記憶ではなく、同じく20回回帰した術式の記憶。
新しい記憶から古い記憶の順番で仁美の頭の中を駆け巡っていった。
それは一瞬の様で長い時間だった。
20年間の悟との思い出が一気に溢れていく。
術式の記憶は仁美の記憶より詳細にその光景を映し出す。
幸せだった頃の2人の映像……そして20回の回帰の時の様子。
回帰の瞬間はいつも仁美は苦痛に悶えて目を瞑っていた。
悟の様子を伺う余裕すら無くて、ただひたすらに自分の苦痛に耐える。
その傍らで……。
悟はそんな表情をしていたのか……。
初めて見る回帰の瞬間の悟達。
どの姿も見ているこっちが胸が締め付けられる位に苦痛に顔を歪めている。
……こんな人が呪いをかけるだろうか。
苦しむ仁美を抱き締めて、必死に励まし、懇願する悟の涙を見ながら、仁美もまた涙を流した。
そして、記憶はさらに遡り、初めての回帰の瞬間に仁美は思わず顔を覆いそうになった。