【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
教室でつまらない話でも馬鹿みたいに笑い合って、楽しい事を思いつく度に夜蛾に2人揃って殴られる。
心が許せる仲間達に囲まれて、2人でその先陣を切って何も怖いものが無かったあの頃。
何を望んでも、どんな敵でも、2人なら叶えられない事はないも無いと信じていたあの日々…。
傑はスッと目を伏せた。
こんな時に、すごく馬鹿みたいな妄想をするんだ。
あの頃にもし仁美と出会っていたら。
同じ高専の制服を着て笑い合っている2人の中に仁美が居る。
きっとすぐに彼らは仁美を奪い合う様に喧嘩を始めるだろう。
仁美が呪いにかかっても2人なら難なく解決できて。
彼女が回帰する事も、傑が呪詛師になる事も無かったかもしれない。
もし間違って悟が仁美を呪いそうになるのなら。
全力の拳でそれを阻止する。
2人の間で幸せそうに笑う仁美を想像しながら。
そんなあり得ない妄想を、今この時にふと浮かんだ。
こんな時だから浮かんだのかもしれない。
「まだ私にそんなモノを残していたのか…。」
お気楽な悟らしい答えだ。
いつも慎重になれって怒ってたっけ?
ああ…でも今はそんな悟のいつもらしい傑頼みの行動に救われた。
少しぐらいは残っていた毒気が抜かれて、傑は自身の決着を綺麗に終わらせたかった。
「コレ、返しておいてくれ。」
そう言って傑は憂太の学生証を悟に投げ渡した。
渡された学生証を見て、悟は呆れた顔をする。
「っ!小学校もお前の仕業だったのか。」
「…まぁね。」
「呆れたやつだ……。」
いつもの様に悪戯の種明かしをする傑に、悟はため息を吐いた。
ため息と共に心の中にあった蟠りが漏れた様な気分になった。