【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
傑は仁美が見えなくなってから、狭い路地を再び歩き始めた。
諦めない。
諦めることなど出来るわけが無い。
今、家族にどんな損害が出ていても。
掲げた夢を下すことなんで出来るはずが無かった。
仁美の笑った顔をまた見たい。
だから傷付いたこの足を止めることは出来なかった。
ああ…だけど…。
結末はどうやら仁美の涙を乾かす事は出来なそうだ。
目で確認するより先に、現れたその気配に気がつくと。
傑はゆっくりとズリズリと体を下ろした。
「……遅かったじゃないか、悟。」
傑は目の前に現れた悟を見上げながら言った。
ここに悟が来たと言う事は、もう詰みなのだろう。
傑ははっと笑った。
むしろ自分の最後は悟以外あり得なかっただろう。
だから気持ちは清々しい位だ。
「…君で詰むとはな…私の家族達は無事かい?」
「揃いも揃って逃げおおせたよ、京都の方もお前の指示だろ?」
非術師にはあんなに非道な行いをした傑なのに、自分の家族達にはちゃんと逃げおおせるだけの算段を立てていた。
「まぁね、君と違って私は優しいんだ…、あの2人を私にやられる前提で送りこんだな?乙骨の起爆剤として。」
「そこは信用した。
お前の様な主義の人間は若い呪術師を理由もなく殺さないと。」
「…はっククッ…信用か……。」
思わず口から笑いが漏れた。
最強の呪術師と最悪の呪詛師。
いつしか2人の呼び名は、最強コンビからこんな風に変わった。
今は決してその志を共にする事の出来ない2人なのに。
ここが高専だからだろうか。
こうして言葉を交わせばどうしても思い出してしまう。