【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
それなのに仁美は傑に抱き付いて、ずっと嫌だと繰り返すだけだ。
もう時間が無いのは仁美の焦る様子から分かる。
このまま1人で行かなければならないなら……。
いっそ傑と一緒に……!
そう考えて仁美はぎゅっと傑を抱き締めた。
「……お願いだから仁美…。」
傑はそんな仁美の気持ちを分かって、諭す様に呟いだ。
「私はそんな事望んでいない……。」
仁美と出会っていつだって望んでいた事は仁美が生きる事だ。
例えその横に自分が居なくても。
傑のその言葉を聞いて、耐えられなくなった仁美の目から涙が溢れた。
ポロポロと涙を流しながら、仁美は更に抱いている手を強めた。
「…嫌だ傑…!傑が居ないなら生きていく意味が無い……!」
ああもう…隠す余裕すら無い様だ。
絶対に自分を離さない仁美を、傑は片腕だけで抱き締めた。
傑の腕の温もりを感じて、仁美は目をぎゅっと瞑った。
傑が居たから。
今世でも生きようと思えたんだ。
『いらっしゃい。』
初めて会ったあの時から、傑が今世での最愛の人だった。
悟を愛して、悟の愛に傷付いても、傑が居たから今日まで生きてこれた。
傑が死ぬ未来を変えたくて、それだけが生きる目標だった。
例え…一緒に居る時間が少しだとしても。
傑が生きていてくれる。
それだけでこの命が終わっても良かったんだ。
傑がいくら諭しても、仁美は嫌だと泣くばかりでその手を緩めてくれない。
まったく…。
本当に愛らしい子だ……。