【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
その言葉を口にするのに、どれだけのモノを捨てようとしているのか。
その場に居た仁美だけが胸を引き裂かれる思いで見ていた。
憂太は今、約束を果たすのだ。
折本里香という呪いと自分がした約束を。
ー死すらも自分達を離さない。
本当に愛は呪いだ。
「愛しているよ里香……一緒に逝こう?」
そう言って里香に口付けを交わした。
憂太の柔らかい唇に触れて、里香の呪力が上がるのが分かった。
それは傑のうずまきを上回るほどに。
仁美はその光景を見て、ハッと笑った。
あり得ない。
アレが正解だとしたら、自分が今まで悟を拒否して貫いた愛は何だったのだろうか。
憂太が今感じている絶望からの脱却と、仁美が感じてきた絶望は何が違うのだろうか。
自分の死位渡す事なんて何でも無かった。
悟に死んで欲しくないと切に願った。
その仁美の願いを嘲笑うかの様に、呪いは愛を吸収して傑の脅威となる。
『ああああぁぁぁあああー……!!!』
呪いが歓喜の雄叫びを上げている。
憂太がキスをしてくれた。
自分を拒否するだけの憂太が初めて受け入れてくれて抱き締めてくれた。
その全てが折本里香の高揚に繋がる。
『大大大大大大好きだよぉぉーー!!』
憂太の愛に応える特級過呪怨霊。
その異様な光景にすら目を奪われる様だった。
「……そうくるか…女たらしめっ。」
傑は目の前の光景に笑みを浮かべながらその目元は顰めていた。
「………失礼な…。」
憂太は振り向き、傑を見ると狙いを定める様に指を差し出した。
「純愛だよー。」
憂太のその姿に仁美は目を細めた。
「ならばこちらは大義だ!」
歪んだ愛と歪んだ大義が呪いとなってぶつかり合った。
そしてその衝撃が黒い竜巻となって呪術高専を包んだ。