【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
特級過呪怨霊化身玉藻前。
呪霊操術極ノ番『うずまき』。
かつて傑の『うずまき』を見た呪術師は居ないだろう。
傑は余す事なく、目の前の憂太がそれを使うほどの呪術師…。
いや呪いと定義してその術式を放つ。
しかし、憂太の傍にも特級過呪怨霊の折本里香が居る。
まさに特級の呪いと呪いのぶつかり合いだった。
「乙骨…君が折本里香を使いこなす前に殺しに来て良かった……。」
それは傑の勝利への確信だった。
「………。」
確かにぶつかり合う呪力は憂太の方が弱かった。
憂太はゆっくりと目を閉じた。
呪術高専で出会った人達の笑顔が思い出される。
目の前の巨大な呪力にはまだ及ばない。
それならば…。
憂太に出来ることはまだあった。
特級過呪怨霊になってでも側に居てくれた折本里香。
里香は死んでもなお、憂太の為に側に居てくれた。
それならば、里香のその想いに憂太にはまだ差し出せる対価があった。
「…里香…。」
『なぁに?』
憂太はそっと振り返って里香を抱きしめる。
目の前の元凶。
呪詛師を超えた呪いの塊。
ソレを祓ってなお、憂太の命に変えてでも守りたいものがここにはあった。
「いつも側に居てくれてありがとう。……僕を好きになってくれてありがとう。」
もう原型すら留めて居ない里香の歪な顔を憂太は愛おしそうに触れた。
その光景に仁美は顔を顰める。
呪われてなお、それでも相手を愛おしむ憂太の姿に、仁美は自分を重ねた。
そうして悟を受け入れることが出来無かった自分を嘲笑う様に。
呪いの愛がそこにある、
「最後にもう一度力を貸して…アイツを止めたいんだ…
その後はどうなってもいいから。」
後悔なんて一つも無い。
だって今こんなにも里香が愛しいのだから。
仁美は知っていた。
その呪いに身をおくほどの激しい気持ちを。
……ああ……本当に乙骨憂太はあなたの生徒だ。
何の躊躇もなくその呪いに身を委ねる。
「僕の未来も、心も、体も、全部里香にあげる。これからはいつも一緒だよ…。」