【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
そして七海の薙刀の先端が黒く弾いた。
ー黒閃。
そして黒閃。
呪力を乗せた打撃を放つ時に、0.0000001秒内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。
ー黒閃。
三連連続の黒閃。
そして最後に巨大な呪霊を目の前に七海の術式が発動する。
一撃確殺の『十かく呪法』。
そして四連続目の黒閃。
七海はかつて腕の中に抱いた仁美を思い出す。
懸命に生きたいと自分に縋った彼女。
かつての先輩の横で初めて見せた仁美の笑顔。
どれが本当の彼女の姿だったのだろう。
きっと全て、彼女の願いであり、仁美がすべき選択だったのだろう。
ああ、どの仁美も鮮明に思い出し、この惨状を仁美が願ったのなら許せる心なんて無いのに。
なのに東京に仁美が居た報告を受けない。
この京都の土地に仁美が居るのかもしれない。
それなら……。
誰かに仁美が殺されるなら。
せめてその任務は自分が全うしたかった。
七海はギュッと目を顰めて、津波の様に押し寄せてくる呪霊を祓っていった。
本当はそんな気持ちで無くて、今彼女はどんな顔をしているのか…。
それだけを確認したいのかもしれない……。
そんなかつての仲間達がどんな気持ちで今百鬼夜行と向き合っているのか。
呪術高専に居る2人が汲む気持ちを分かっていないはずなんてないんだ。
それでも傑には…仁美には…。
そんなかつての仲間達の気持ちを無視してでも叶えない願いがあるんだ。
彼らはその気持ちを分かっていながら、この凶行をやめられない信念があった。
それは傑の大義であり、仁美には今世を生きる意味であった。