【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
その光景を見たのは2度目だった。
初めて見た折本里香の全容よりも更に大きく、呪いの力が膨大になって傑に襲いかかる。
悟が憂太の起爆剤の為に送った友人達。
それも分かっているのに、彼らを助けるのが真っ当な大人の仕事だろう。
しかしその光景を見てもなお……仁美の心配は傑に向かっている。
自身がこの渦中に入る事が出来ない。
入った瞬間に自分の体は原型を留める事も無く消滅するだろう。
仁美はそんな呪いのぶつかり合いに眉間に皺を寄せる。
憂太の呪いの呪力が傑を覆っている。
ああ、彼はこの呪いを掻い潜ったとでも言うのだろうか。
傑の最後は悟が仕留めたと分かっている。
しかし目の前のこの呪いの渦が常識を逸脱していて、本当に傑がコレを掻い潜って生き延びるのすら疑問に思えた。
今すぐ加戦したい。
それすら足手纏いだと分かっているのに。
憂太はこれから未来のある少年だと分かっているのに。
心はすでに傑が生きて欲しいと言う思いしか湧かなかった。
そんな自分の気持ちも呪いと分かりながら、どうしても願ってしまう。
どうか傑を私にください。
他は何も要りません。
彼の歪んだ思想も、叶えてはいけない願いも自分が受け止めて死ぬから。
あの人のあの笑顔だけは。
どうか奪わないでください。
そんな呪いの様な願いを容認する様な人間は周りに誰も居ないのに。
仁美を呼ぶ声はまだあるのに。
それすら気付な無いほど、この高専には呪いが充満していた。
「ふぅ…これで50体…。撃破数のインセンティブはクリア。
満額ボーナス目指してもう少し働こうかな。」