【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
仁美と同じ少し離れた場所で、憂太は呪力がぶつかり合う衝撃を感じていた。
離れた校舎が何度も振動で震えている。
棘の呪言が傑を潰した振動。
大きな穴が開くほどの衝撃に、憂太はとうとう窓の外を確認した。
「!?」
目に入ったのは盛大に壊された門だ。
そういえばさっきから真希の姿が見えなかった。
憂太はたまらずに刀を手にして教室を出た。
はぁ…はぁ…はぁ…。
懸命に走っている間、自分の呼吸の音が耳に鳴り響いた。
考えるだけで顔が歪みそうな予感。
その予感を拭い去るように、憂太は思い切り走った。
そして門を通り過ぎて、憂太は自分が見た光景に唖然とした。
「ー素晴らしい!素晴らしいよ!」
3人の同級生が倒れている中、傑だけが立っていて、歓喜に震えていた。
「私は今猛烈に感動している!乙骨を助けに馳せ参じたんだろう!?
呪詛師が呪詛師を自己を犠牲にしてまで慈しみ!敬う!
私の望む世界が今、目の前にある……。」
両手を広げて、自分が見た光景に恍悦に笑みを浮かべる傑。
そんな彼の姿は憂太の目には止まらなかった。
いや、見えているし、聞こえている。
だからこそ心臓が感じた事のないほど全身に血を巡らしている様に熱く感じる。
「…真希さん…。」
グッタリと横たわる彼女は、大量の血を流して、脚が関節を無視して曲がっている。
ー家の連中に吠え面かかせてやるんだ。
真希が憂太に語った少し前の記憶。
それだけでは無く、今まで真希と過ごした光景の記憶が古い記憶も新しい記憶も頭を駆け巡った。
憂太はゆっくりと回りを見渡した。
「……本当はね、君にも生きてて欲しいんだ、乙骨……。
でも全ては呪術界のためだ。」