【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第18章 百鬼夜行
「ーー乙骨憂太を殺して、特級過呪怨霊折本里香を手に入れる。」
現状での下剋上を完成させる『拾える場札』。
そして今、傑のその思惑を理解している人物は呪術師の中には居ない。
夜蛾……五条悟でさえ…。
しかしそれは傑の学生時代を知っているからこその判断だった。
主従契約があっても呪霊を取り込めると言う事を、傑は誰にも知らせていなかった。
「学生時代のプラフをまだ信じているとは…めでたい連中だ。
主従契約があろうとなかろうと首を私とすげ替えてしまえば、呪いなんていくらでも取り込めるんだよ。」
そして傑の思惑通りに、まだ未知数の折本里香を今回の前線に配置する処置を高専はしなかった。
「勝率の高い戦いで高専が乙骨というカードを切ることはない。
下手をうてば敵も味方も全滅だからね…。」
それこそが家族達に伝えた傑の作戦だった。
……仁美にもまたそれは伝えていた。
「百鬼夜行の目的は、乙骨憂太を孤立無縁に追い込む事ー。」
その話をした時に彼女はどんな顔をしていただろうか。
何故今仁美はこちら側に居ない。
そんな気持ちをぬぐい、奮い立たせる様に傑は呟いた。
「ーーさぁ、新時代の幕開けだ。」
「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ賜え。」
「「?!」」
急に降り立った高専への帳。
憂太と真希は同時に教室の窓からその光景を見た。
呪術高専が闇に呑まれていく。
「学校に帳が下りている!…誰が…どうして!」
困惑する憂太をよそに、先にその原因を見つけたのは真希だった。
真希は憂太を教室に残して、駆け出した。
夏油傑が居る、高専内の出入り口へ。