【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
久しぶりに傑の腕の中に顔を埋める。
周りに誰も居ないこの静かな時間が好きだった。
これから自分が死ぬまでの時間をこの腕の中で過ごす。
きっと穏やかな時間に包まれるはずだ。
「……仁美……。」
傑の手が顔を掴んで、いつもより押し付ける唇が強かった。
目を薄っすらと開けて見る傑の眉間に皺が深く寄っている。
傑がこんなに辛そうにキスをしてくる理由は仁美の死が確定した事だろう。
百鬼夜行が終わったら、本当は悟と同じ様に黙って居なくなるつもりだった。
だけど、回帰はどうなったかと聞く傑の顔を見たら、黙って離れる罪悪感より、嘘を吐く罪悪感の方が大きかった。
傑の唇が離れると、そのまま頬をなぞり瞼に落ちた。
そしてぎゅっと抱き締められると、耳元で傑の声が聞こえる。
「…仁美…お願いだから諦めないで、一緒に方法を探そう。」
でもそうしたら、余計に彼は辛くなってしまわないか。
自分の事より残された傑の事を思うとぎゅっと傑を抱き返す。
もう傑は充分に仁美の望みを叶えてくれた。
仁美が返せる事と言えば、傑が死なない様に行動をする事だけだ。
「……うん……分かったよ…。」
傑の首に腕を回して仁美は言った。
その言葉が嘘だとすぐに分かる。
辛いのは仁美が生きたいと思わせる事が出来ない自分の存在だ。
どうすれば仁美にそう思ってもらえるのだろう。
傑は仁美に生きていてもらいたくて、何度も何度もキスをする。
仁美もまた傑に同じ事を思いながら、彼の舌に絡みつく。