【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
「ーーーー初めまして乙骨くん。私は夏油傑。」
「「「?!」」」
さっきまでの悪ノリの空気は一瞬にして吹き飛んだ。
「えっ、あっ、初めまして…。」
突然目の前にいた傑に憂太は咄嗟に挨拶を交わした。
ーーー速い。
まだ緊張感が無い憂太をよそに、パンダ、棘、真希は自分達が全く確認出来なかった傑の動きに動揺した。
これがもし攻撃だったら……。
そこで初めて自分達が置かれている状況に気が付いて冷たい冷や汗をかいた。
「君はとても素晴らしい力を持っているね。」
傑はスッと憂太の手を両手で握ると、まるで友達に接するように明るい声で憂太に話しかける。
その言葉に敵意が無いことが憂太を更に混乱させた。
でもどうしてか、簡単に返事をしてはいけない様なそんな違和感を感じていた。
「私はね…大いなる力は大いなる目的の為に使うべきだと考えている。
今の世界に疑問は無いかい?」
「???」
傑の問いかけの意味が分からず、ただ困惑する表情をする憂太に、傑は続けた。
「一般社会の秩序を守る為に呪術師が暗躍する世界さ。
つまりね、強者が弱者に適応する矛盾が成立してしまってるんだ。
ーーーなんって嘆かわしい!」
「はぁ………。」
傑の演説を聞いてもピンときていない憂太の肩に傑の腕が回された。
「万物の霊長が自ら進化の歩みを止めているわけさ。
ナンセンス!
そろそろ人類も生存戦略を見直すべきだよ。」
法衣を纏った男の高説は訳が分からないのに何処か頷いたしまいそうな雰囲気だった。
未だに傑の話の趣旨を理解出来ない憂太は困惑し、パンダ、真希、棘は警戒し続ける。
「だからね、君に手伝って欲しいわけ。」
「……何をですか?」
「非術師を皆殺しにして、呪術師だけの世界を作るんだ。」