【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
「…………仁美………。
僕と一緒に堕ちて………。」
囁く様に懇願する様に悟の声が聞こえた。
「…………………。」
その悟への返事は出来なかった。
しばらくの沈黙を過ごしていると、耳元で悟の寝息が聞こえてきた。
「………………。」
体を動かそうとしても腕だけはぎゅっと力が入っていて、この腕を振り解けば彼が起きそうで動けなかった。
……きっとしばらく寝ていなかったのだろう。
普段目隠しをしているので全然分からなかったが、久しぶりに見た悟の目元はとても疲弊していた。
伊知地にバレたので開き直って仁美を呼んだという所だろう。
こんな事が疲労をずっと続けるのは無理だろう。
きっと放っておいても悟は縛りを解呪するしか無くなるだろう。
(私はあなたと堕ちることは出来ない。)
それは悟の死を意味するから。
胸が痛くなって涙が出そうになるのを必死で堪える。
本当に自分は死ぬんだ。
悟を残して………。
望んでいた事なのに、それが今世の目的だったのに。
達成できた今はただただこの腕にもう抱かれる事が無くなる辛さだけだ。
もうどんなに願っても決められた未来が。
今はとても虚しいだけだった。
私が悟と出会った意味は何だったのだろうか。
彼を愛した時間はただ2人を傷付ける時間でしか無かったのだろうか。
スルッと悟の腕が落ちて、彼が完全に寝た事が分かった。
仁美はゆっくり体を起こして、それでも起きない悟の寝顔を見下ろした。
いつ見ても愛している気持ちが溢れてくるこの寝顔を、もう2度と見る事は無いんだ。