【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
暗がりの部屋の中、見上げて見えるのは悟の六眼だけだった。
ドロドロとした呪いの感情がこの部屋を覆っている様だった。
ああ…私達はいつも……。
この異端な世界の中で愛し合っていたんだ……。
呪いを解呪した今ならハッキリとその異様な環境が肌で感じられる。
こんなの正常な世界では無いとすぐに分かるのに。
悟を愛して盲目になっていた自分には分からなくても。
この目の前の呪術師がそれに気付かなかった筈が無いのに。
それが分かっていてなお、その世界に身を沈めようとしている愛しい男がソコに居た。
もう呪いなのか悟なのかも分からない異端の姿に仁美は目を細めた。
仁美はすぐに悟の腕を払うと逃げる様にベットから手を伸ばした。
助けを求める様にドアに伸びる仁美の手を悟は掴んでまた自分の腕の中に引きずり込む。
「っ!離して!」
そう言って体を反転させてもぎゅっと悟の腕が仁美の体を掴んで逃げる事を許さない。
悟の手が視界に入ると、まるで回帰を受けた時の仁美の様に黒い呪いが目に見えて纏っている様だった。
「……ああ……だからアイツは嫌だったんだ………。」
悟はそうポツリと呟くと、頭の中に浮かんだ直哉に顔を歪める。
あの男は絶対に仁美を愛して、傑の様にコソコソと仁美を自分から離すと分かっていた。
グッと匍匐前進の様に仁美の体が悟から逃げようとする。
悟はその仁美の背中を抱き締めてさらに自分の腕の中に仁美を収める。
今自分から逃げようとしている仁美の行動には、無数の男の影を感じて。
怒りや憤り、嫉妬で負の感情が増加していく様だった。