【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
この人は何でここまで……。
仁美はまだ痛みを和らげる様に息をしている悟を見て顔を歪めた。
涙が勝手に出てくるのは痛んでいる胸がさせていると分かっている。
「早く縛りを解呪して。」
呪いの代償を受けてまで、それを解呪しない悟が憎らしくて……。
愛おしかった。
呪術界最強の男が自分で呪った呪いに苦しんでいる姿が。
その原因が自分である事にどうしようもない喜びを感じていても。
ポロポロ流れた涙を拭う余裕なんて無かった。
自分の拳の上に涙が落ちる感触を感じながら溢れてくる悦びの感情を抑えるのに必死だった。
もうこれ以上この感情に引きずり込まないで。
「解呪しなさいよ!迷惑なのよ!こうして呼ばれるのも!」
心とは裏腹の言葉を悟に浴びせながらぎゅっと目を閉じた。
どうしようも無く愛おしい男を拒絶しなければいけない言葉は。
どうしてこんなにも自分の心をも傷付けるのだろう。
悟はぎゅっと握られている仁美の拳を見ながら目を細めた。
グッとその腕を掴んで自分の腕の下に仁美を引きずり込んだ。
眉間に皺を寄せて涙を流しながら自分を睨む様に見上げている仁美と目が合う。
その表情を見ながらグッと悟の顔も歪んだ。
「……仁美こそ何でこっちに堕ちない。」
本当に自分と離れても良いと思っているのだろうか。
あるいは、仁美の側に居る男がそれを止めている。