【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第2章 不思議な女※
仁美は悟の言葉に目を細めた。
ー何も。
悟は何もしていない。
ただ仁美を愛して、それが真実の愛じゃなかっただけだ。
そしてその悟の愛が、今世では必要が無いだけだ。
「…五条さんは何もしていません。」
仁美は目を伏せて言った。
悟の愛が必要無いから、説明もする必要も無い。
「コレからもそのまま、私に何もしないで。」
今世で悟にキスをして触れるのは、コレが最後だ。
そう言って、仁美は悟を残して、会議室を出て行った。
悟は仁美を止める事なく、その背中を見送った。
(……不思議な女だ。)
悟は組んでた腕を下ろすと、ソファにドカッと座って、足を机に置いた。
背もたれいっぱいに背中を付けると、悟は頭を後ろに倒した。
(僕を誰よりも知っている様で、誰よりも僕を拒否している。)
確かに、今まで同じ高専で働いているのに、ハッキリと対面しなかったのだから、これからも接点は無いのだろう。
もし、傑の残穢を纏わずに、何処かで会っていたのなら、間違いなく悟は仁美を恋人にしていただろう。
傑とも本当に、ただ情事を重ねただけの様だ。
傑と仁美が抱き合っている姿を想像すると、悟の背中がゾワっと毛が逆だった。
ピシッ!
悟の放った気配に、会議室の窓にヒビが入った。
ヒビの入った窓の外を見ると、仁美が高専から出て行くのが見えた。
あの背中に抱きついて、自分の元に押し込みたいと言う気持ちは、ただ仁美が好みと言うだけだからなのか。
悟は目隠しをして、仁美から目線を逸らした。
自分の気持ちも、仁美の言動も、何一つ納得出来なかった。