【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第2章 不思議な女※
「……五条さん…。」
仁美はスッと悟の胸に顔を埋めた。
「お願い、聞いてくれますよね?」
「……何?」
悟の低い声が頭上で聞こえると、仁美の口元は口角を上げて、胸に置いていた手を、スッと悟の首元に持っていく。
首元の服を掴んで、グッと悟に顔を近づけた。
「私を居ない存在だと思って、コレから無視して生活して下さい。」
そう言って悟の顔を覗き込む仁美に笑みは無かった。
その顔に、悟の顔が歪んだ。
「私は五条さんの前に自分から現れません。
だから五条さんもコレから私が何をしても、無視して放っておいて下さい。」
「…何か企らんでんの?」
仁美を警戒する様に、悟は言った。
そんな悟に、仁美は再び笑った。
「…小さな事です。私…恋人を作りたいんです。」
仁美の言葉に、悟はふっと笑った。
「へぇ、じゃあ傑は何なの?」
「恋人候補です。」
仁美はパッと手を離して、悟から離れた。
「誰でもいいなら、僕でも良くない?」
笑って仁美を見下ろしているが、仁美は知っている。
その表情に、恋慕の気持ちは少しも入っていない。
「誰でもいいのではなくて、探してるんです。」
「誰を?」
「…たった1人の運命の相手です。」
とても陳腐な言葉なのに、見上げた仁美の顔は真剣そのものだった。
悟は笑みをやめて、仁美を見た。
「そしてその相手は、五条悟では無いと、ハッキリ分かってるんです。」
仁美の睨む様な顔に、悟は腕を組んで、少し考えた。
「僕、君に何かした?」
こんなにハッキリとした拒否をされるほど、仁美に何かをした覚えも無い。