【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第16章 異榻同夢※
「……直哉さんありがとう…。」
耳元で仁美の声が聞こえて、直哉はぎゅっと目を瞑った。
術式を解呪する位愛をくれてありがとう。
本当にそう思っている。
今世で…出会えてよかった。
そう思えるのに、皆んなが笑顔になれる終末を掴めなくてごめんなさい。
「……直哉さんにまだ手伝って貰い事がある。」
「…なんや?」
スッと直哉から顔を離して目を合わせる。
「…悟に術式が残ってる事を知られたく無い。」
ぎゅっと目を顰めて仁美は言った。
自分の命が回帰の日までしか無い事を悟に知られる訳にはいかない。
もう後が無いのだ。
今回の死は確実に魂を殺してくる。
そうすれば魂の縛りがある悟も同時に死んでしまう。
今まで以上にその呪いは解呪しなければならない。
「……悟くんやったら残穢で気付くやろな…。」
流石に呪術界最強をこんな形で失うのは大損害だ。
しかし今の悟なら確かにその比重が仁美に向いている。
「仁美ちょっと待っとって。」
そう言って直哉はスクッと立つと離れから出て行った。
しばらくして戻って来た直哉の手の中には手のひらサイズの木箱があった。
仁美の前でソレを開けると、中には丸い球が入っていた。
ソレ自体に呪力は感じられなうが、まさしく呪具だった。
「コレで術式を消す事が出来るんや。」
本来なら身に付けて術式を消す作用がある。
特殊な結界などに侵入する為に使える呪具だ。
「呪いを消す事は出来へんけど、その残穢を悟くんに気付かれへん事は出来るさかい。」
渡された赤い球を仁美は手に取った。
「さやけど仁美の術式も消えるで。」