【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第16章 異榻同夢※
「……大丈夫直哉さん、コレが最悪では無いよ。」
仁美はスッと腕に袖をかけて言った。
そう…最悪は解呪した瞬間に自分が死ぬ事だった。
それを考えたらまだ自分には残された時間がある。
その間に今世に誓った事がまだまだ出来る時間があるんだ。
そう言って力無く笑った仁美に、直哉は顔を歪めた。
そんな直哉を見て、仁美は彼の顔を撫でた。
「……実を言うと、私の今世の目的は回帰を解呪して死ぬ事だったんだです。」
仁美の言葉に直哉は驚いた顔をした。
「真実の愛はとっくに諦めていて……悟が上書きした呪いを解呪して死ぬ事が目的だったんだ……。
だけど……直哉さんに出会えた……。」
その言葉にグッと直哉が目を歪ませた。
その顔を見て、仁美は申し訳無く思えた。
「そんな顔しないで…悟が解呪してたらきっとその場で死んでたから…。
でも……直哉さんだから……私には時間が与えられた…。」
呪いの慈悲なんてこんなモノだろう。
それでも諦めかけていた目的を達成出来たのは直哉のおかげだ。
本当に今世でも悟の手を取って終わらせようなんて馬鹿な考えを、ちゃんと元に戻せた。
「俺は結局仁美の命を縮めただけや…。」
回帰するならまた違う選択があったかもしれない。
そんな思いがどうしても過ってしまう。
直哉の言葉に仁美はフッと笑った。
「冗談でしょ?回帰を繰り返す位なら死んだ方がマシよ。」
そんな言葉が出る位、仁美にとっては回帰は辛いモノだと初めて知った。
直哉はぎゅっと仁美の体を抱きしめた。
直哉の首に手を回して仁美は目をゆっくり閉じる。