【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第16章 異榻同夢※
何故そんな悲しそうな顔をするのだろうか。
仁美はため息を吐きながら悟から体を背けた。
「…そうですね…五条さんの『執着』はもう終わりにしましょう。」
これ以上お互いの縛りは何の意味も持たなくなるのだから。
悟は執着と言う言葉に顔を歪めた。
「……ちゃんと解呪出来たと…回帰の日を過ぎたらまた仁美を迎えに……。」
心臓がギリギリと痛む。
仁美を手放そうとあそこまで自分で言ったのに、こうして縋っている姿がみっともないと分かっているのにまだ仁美に縋ろうとしている。
分かっている。
仁美にはこんな提案もう何の意味も持ってないのに。
はぁ……。
悟の言葉に仁美のため息が聞こえた。
もうこれ以上何も言わないで欲しい。
そう願っているのに、最後の最後まで仁美の言葉に期待している自分がいる。
「…もうそんな事は『2度と』無いとここで誓いましょうか。」
悟の顔を真っ直ぐ見ながら仁美は迷いのない顔で言った。
仁美の言葉に悟は痛む胸をグッと掴んだ。
息をどうすればいいのか分からなくて、小刻みに肩を振るわせる。
「……胸が痛みますか?私もです。
コレが五条さんが魂が縛ったせいなら……本当に迷惑です。」
離れたいのに離れようとすると胸が締め付けられる様に痛んで、全身が引き裂かれそうだ。
呪いとは厄介なモノで、それが愛からくる胸の痛みでは無いのはハッキリと分かる。
切なさなんか感じる暇も無く、ただドロドロした負の感情が全身を蝕んでいく感覚だ。
解呪出来た今はソレがハッキリ分かる。
この感情に侵されて、悟が仁美を執着する気持ちがよく分かる。