【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第15章 真実の相手③※
仁美にこうして着物を着させる手は優しいが、体を抱き合う時の情熱は感じない。
肌で触れ合う時の衝動が強すぎて直哉も戸惑っている様だ。
……比べてはダメだ。
そう思いながらも仁美は悟との時間を思い出してしまう。
目が覚める時はいつも悟の腕の中で。
腕の中で悟と目が合えば彼は宝物を見る様な目でキスをしてくる。
隣に座っている時間よりも抱き合っている時間の方が多くて。
悟の手が仁美に触れていない時間は無かった。
いつ見ても悟の目は仁美を愛していると言っていて。
仁美は悟のその目を見ていつも幸福感に包まれて目を閉じる。
そしてまた悟の腕の中で眠り、1日を終えて目が覚めて1日が始まる。
不安も心配も無い悟の腕の中で仁美は彼の唇を全身で受ける。
私はアレが自分の愛だと知っている。
悦びも痛みも与えるのは全て悟で。
その心をまた癒すのも悟だ。
悟の腕に抱かれて、悟の唇の感触に目を閉じて。
毎日毎日愛していると囁きながら眠りについた。
教えて欲しい。
あの湧き上がる感情は本当に愛では無かったのだろうか。
グッ!
「「!?」」
長襦袢を紐で止めようとする直哉の手が掴まれる。
まだ4日程度離れただけなのに、もう懐かしい匂いに涙が出そうになった。
「…怖いさかい、勝手に入ってけぇへんでくれる?」
直哉は目を細めてその手の持ち主を見上げた。
「………………。」
珍しく悟が目隠しをしていないでそこに立っていた。
掴んだ直哉の腕に術式の模様が無く、仁美にはまだ付いているのを見て悟はギュッと目を顰めた。