【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第14章 真実の相手②※
他の男の所から帰って来た仁美に余計に腹が立つ。
直哉の態度に今は近付かない方がいいと仁美も判断した。
昨日より明らかに痣が増えている。
誰も手当をしてくれないのだと、仁美は持っていた薬箱をギュッと握った。
せめてこれだけでも置いていこう。
仁美はそっと中に入ると、直哉の布団の横に薬箱を置いた。
寝ている体勢の直哉の目線の先に、床に座った仁美の帯が見えた。
その太鼓の結びに直哉は目を細めた。
立ち上がろうとする仁美の腕を直哉が握った。
「!?」
そのまま引っ張られて仁美は布団に躓くように手を付いた。
「っ!腕動かしただけで痛いわっ!」
直哉の顔が痛みで歪んで仁美を睨んだ。
直哉の体を避けるように付いた手に直哉は体勢を変えて仁美の首を掴んで自分の方に寄せた。
「……直哉さん…。」
そんなに痛いのにわざわざ腕を動かしてまで自分を引き寄せる直哉に戸惑った。
「……………。」
直哉は相変わらず顰めっ面で仁美の帯に触れた。
仁美は黙ってその直哉の行動を見ていた。
「……この太鼓の結び方は癖があるんや。」
ソレは直哉が結んだ帯だった。
仁美はこの帯を解かなかったのが分かって直哉は目を細めた。
直哉の言葉の意味が分かると仁美は直哉の頭をそっと撫でた。
「……貴方は私を何だと思ってるの?」
自分が他の男に抱かれに行ったのだと直哉がそう思っていた事にため息を吐いた。
今日はただ気持ちの整理をしたかっただけだ。
傑と過ごした時を考えたら直哉にとっては充分に不愉快な時間だったのは否めないが。