【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第14章 真実の相手②※
凄く眠たいのに起こされて、着物を着付けしたまでは覚えてる。
その後結局二度寝して起きたら部屋はもぬけの殻だ。
あの女を手にして何が残る?
術式が戻るのは大前提として。
五条悟の悔しがる顔?
余計に五条家との関係が悪化するだけだ。
顔がいい嫁?
それはまぁ喜ばしい事だ。
直哉は苛々しながら考えていると、自分の体がヌルッとしているのに気が付いた。
指で触れて初めてそれが仁美が塗った軟膏だと分かった。
「…はっ薬もまともに塗られへんのか。」
塗りすぎやろアホ。
沢山塗れば早く治るとでも思っているのだろうか。
何故か自分が寝ている間にせっせと薬を塗っている仁美の姿が目に浮かぶ。
(……面倒くさい女やなぁ。)
直哉はそう思いながらも重いため息を吐いた。
アレがほんまに死んでしまうのやろか。
自分が死ぬかも知れないと伝えても平然としていた。
何度も回帰を繰り返して、もう希望を持っていないのだろう。
直哉では見出せない仁美の希望を、手紙の男なら彼女に与える事が出来るのだろうか。
きっと仁美は足掻きに行ったのだろう。
どうしようもないこの現実に足掻くだけの気持ちを奮い立たせる為に。
もう自分ではそんな気持ちを作ることも出来ないのだろう。
誰かの腕の中で仁美がそんな気持ちになれると想像したら、胸が落ち着かなくなる。
「…早よ帰ってこんかい。」
直哉はそう呟いて、腕で目を覆った。
ああ、廊下で足音が近付いてくる。
今日も沢山しばかれるのだろう。
俺に手ぇ出した奴らは術式戻ったら覚えとけやカス共。
直哉はムクッと起きて近付いてくる足音をジッと睨んで待った。