【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第14章 真実の相手②※
『男物の着付け覚えたい。』
「ははっ、久しぶりに連絡が来たと思ったら…。」
傑は使いの呪霊が持ってきた仁美の文を見て笑った。
悟に気付かれたはずの残穢に仁美がしばらくは動かないと思っていた。
相変わらず彼女は自分の欲望の為には貪欲な様だ。
傑は仁美からの手紙を見ながら指でトントンと膝を叩いて考える。
仁美の事だから悟の隙をぬったのは間違いない。
問題なのは悟だ。
(…アイツがそんなに長く仁美を放っておくはずが無い…。)
仁美から来ない所を見ると、彼女はそこまで自由に動ける訳では無さそうだ。
つまりコレはすぐに来いと言う事だろう。
「……わがままなお嬢さんに振り回されてやるか…。」
ご要望通りに着物姿で。
傑はスッと席を立った。
傑からの手紙を受け取って仁美は笑みを浮かべる。
「……ごめんね、祓うよ。」
仁美は手紙を持って来た呪霊を祓った。
周りに人がいない離れの庭先で呪霊の消滅炎が青白く燃えた。
「なんや、結局連絡のやり取りは出来たんか。」
直哉の言葉にゆっくりと振り向くと、仁美はニコッと笑った。
『下に見てるとあっという間に喰われるよ。』
その仁美の笑顔を見て、直哉は悟の言葉を思い出した。
たいした術式でも呪力でも無い。
なのに仁美の笑みは確実に足元から縛り付ける呪いの様だ。
「…何体かは祓われちゃったみたいだけど。」
(どうせ祓われてもええカモフラージュの呪霊だったんやろ。)
禪院家に呪霊を呼べるほど仁美の連絡の相手は厄介なやつなのは分かった。