【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第13章 真実の相手※
「仁美…回帰を諦めないで…。」
傑は自分の膝に顔を埋めている仁美にそう囁いた。
回帰を諦めて、傑と2人で逃げようとする計画を話した後に。
傑は目を細めて悲しそうに仁美を頭を撫でながら言った。
仁美はスッと顔を傑に向けた。
傑は笑っているけど、声と同じで悲しそうに仁美を見ている。
でも傑…もう無理そうなんだよ。
今世も沢山足掻いてみたけど、悟より愛せる人なんか現れなかった。
もう今世の願いは傑が生きてくれる事…。
それだけだ……。
「…うん…最後まで足掻くよ…。」
仁美は傑の悲しそうな顔を笑顔にさせたくて、笑って嘘を付いた。
沢山男の人と出会ってやると、仁美が笑いながら言うと、傑の顔はまた微妙な表情になる。
傑の色々な葛藤が顔に現れていて、その傑の顔を見たらおかしくなって笑ったんだ。
そしたらまた傑はいつもの様に呆れた顔で仁美にキスをする。
ああ、早く傑に伝えないとー。
やっと回帰の鍵を見つけたと。
そう伝えたら傑はきっと凄く嬉しそうに笑ってくれる。
そうしたら…。
全部上手くいったら傑が生きてくれる未来が見れるかもしれない。
「……傑……。」
仁美は夢の中の傑に手を伸ばして、自分の手が空を切って目が覚めた。
「………………。」
知らない天井が目の前に広がっていて、しばらく仁美は頭が晴れるまでその天井を見ていた。
「今誰の名前呼んだ?」
聞き慣れないイントネーションの声に仁美は声が聞こえた方を見た。
座椅子に座って胡座をかきながら肘置きに肘を付いて自分を見ている直哉と目が合った。