【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第12章 迷走ランデブー※
確かに直哉の言う通りだった。
仁美には直哉が必要だ。
彼が間違いなく真実の相手なんだと頭と体が言っている。
仁美は直哉から視線を外すと目を伏せた。
ずっと回帰を繰り返していたのに、心の何処かでは悟がその相手だと捨てきれない思いがあった。
悟が呪いをかけたから。
仁美が彼の表面しか愛せなかったから。
相手は悟で回帰していた理由は2人の愛し方に問題があったのでは無いか。
ずっとそんな風に何処かで思っていた。
でも、こうして直哉を目の前にしてハッキリ分かる。
真実の相手は悟では無かった。
分かっていた事なのに、何度もこの事実に胸を潰される気持ちになる。
仁美ははぁと小さく息を吐いた。
別に真実の相手では無いと死ぬ運命で無かったのなら、それでも悟と幸せに暮らしていたのだろう。
今でもハッキリ悟を愛しているのに、全ての気持ちが無視されて真実だけを目の前に叩きつけられる。
何度も叩きつけられる絶望の中で、仁美は口角を上げてふっと笑った。
これで良かったのだ。
直哉に縋ればもう回帰も無く死ぬ事も無い。
初めからこの瞬間を望んでいてやっと掴んだ時間だ。
何も悩む必要なんて無いはずだ。
「…その通りです…。」
悟への気持ちを押し込めて。
「私には直哉さんが必要です。」
目の前の彼を愛する事が自分が望んだ結末だ。
仁美の言葉を聞いて直哉はニコッと笑った。
「ええで、真実の愛誓おか。」
「………はっ?……。」
直哉の言葉に悟から目隠し越しでも分かるくらいの怒気が漏れる。
直哉のコーヒーカップにピシッとヒビが入る。