【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第2章 不思議な女※
悟は困惑した様に、自分の手のひらを見ていた。
仁美はそんな悟をジトッとした目で見た。
(この人、顔が好みなら、しょっちゅうこんな事してた訳?!)
あれだけ、仁美だけど言っていた悟の行動が、全部嘘に思えてきた。
『悟が口だけで、本当は愛していなかった。』
傑の言葉を思い出して、あり得ない事も無いと、仁美はギロっと悟を睨んだ。
悟が顔を上げて、仁美を見ると、仁美はパッと笑顔に戻る。
「……治療終わったなら、話出来るよね…。」
「………………。」
自分の笑顔が引き攣りそうになる。
まだ続いていたのね、その話。
仁美はため息を付いて、スッと立ち上がると、硝子にお礼を言って、悟の後を着いて行った。
正直、悟に嫌われる事だけを考えていて、こうして悟に詰められる事なんて想定していなかった。
仁美は首をポリポリ掻くと、目の前の背の高い背中を見上げる。
(まぁ適当に話して辻褄合わせればいいか…。)
悟との出会いは果たした。
この先悟と会う必要が無い。
今だけ切り抜ける事が出来れば、もう会う必要も無い人物だ。
それでも、20年間愛した人だ。
自分じゃ無くても、幸せになってくれればと、大きな背中を見ながら、仁美はそう思った。
高専の会議室に入ると、悟は仁美を招き入れて鍵を閉めた。
ガシャンと重たい鍵がかかる音がした。
(…そこまでしなくても…。)
その音に、仁美はヒヤッとした。
「…で?」
悟は窓枠に腰を下ろしながら、腕を組み、仁美を見た。
目隠ししているが、悟の表情がその声色で分かりそうだ。