【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第11章 自暴自棄※
仁美は少しムッとして、体を起こした。
もっと自分の腕の中に居たかった様だ。
そんな事で不機嫌になるなら、その顔ですら可愛いかった。
「………乙骨憂太は真実の相手じゃなかった。」
「……うん。」
そうだろうね。
彼が仁美の相手なら少し切なかった。
ともあれ、これで憂太を心置きなく殺せる。
有望で綺麗な未来のある呪術師の卵を自分の手で。大義の為に。
その事に気持ちを奮い立たせるには、後半年ほどで本当に気持ちが定まるだろうか。
「……………悟が…………。」
仁美の目がぎゅっと歪んだ。
傑はその顔を見て、彼女の肩に触れた。
少し震えていたからだ。
「私を呪っていた……。」
仁美の言葉に傑は目を閉じて、仁美を抱き締めた。
やはりそうなのか?悟。
仁美の死ぬ瞬間を見らのは辛かっただろう。
だけど君は平等に均等で無ければならない。
悟の力は世界を滅ぼせる力だ。
だから君は人と常に一線置いていた。
物理的にも、心情的にも。
唯一の傑が居なくなって、精神的な所の支えは無くなった。
悟は人間が好きだ。
非術師を弱いやつを守るのは疲れると言っていても。
根本的な所で、人間が好きだから。
本当は誰よりも呪術師に向いている。
同じ様に呪術師を守りたくて教師になる位。
悟は分け隔てなく人間を守ろうとしている。
だけれども、自分の孤高の孤独に常に渇きを覚えていて。
そしてそれを満たす事は諦めて、常に人間と自分を分けていた。
(私ですら、悟の全てを満たす事は出来なかった。)
悟は優しく、それを傑には見せない様にしていた。
それが傑には少し悲しかった。