【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第10章 今世の約束※
「…はぁ…ぁ…悟…。」
呼びかける様な仁美の声に、悟は顔を上げた。
その時に、仁美が泣いていると初めて気が付いた。
仁美が泣いて動揺している悟の顔を優しく仁美の手が触れた。
グッと目を細めて悟を見ると、仁美はゆっくり口を開いた。
「……回帰してもいいよ…。」
そう笑って言った仁美の顔を、悟は目を見開いて見た。
「…悟…好きだよ………愛してる……。」
ずっと悟だけを。
ギュッと悟の頭を抱いて、悟の耳元で仁美が囁いた。
「もし、私が回帰出来なくて死ぬ事があっても、悟が居てくれるなら大丈夫。」
冥冥もスマホも関係なく迎えに来た悟。
ああ、貴方は本当に私と自分を縛ってしまったんだ。
「いいよ…だから……………今世も愛し合おう…。」
そう言って、仁美は悟にキスをした。
愛し合う為のキスに、悟の顔が歪んだ。
仁美が死ぬ…自分の為に回帰を繰り返して…。
悟の心臓が痛いくらいに高鳴っている。
仁美との唇の間に涙の味がした。
それが。
自分の涙なのか仁美の涙なのか分からなかった。
「………… 仁美……僕は………。」
悟の声に仁美は薄っすらと目を開ける。
震えている悟の唇からは離れる事が出来なかった。
「……君が回帰しない事を願うよ…。」
その相手が自分では無くても。
仁美が辛い思いをする事が、1番辛い。
悟の言葉に仁美は目を瞑って、最後のキスをする。
この歪んだ狂気の様な回帰の中。
ずっと信じていた。
『大丈夫?』
初めて会った時から、少しも変わらない優しさの悟がずっと好きだった。
ああよかった。
あの頃の悟はまだここにいた。