【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第10章 今世の約束※
ホテルのドアを開けて、カタンと仁美は鞄を置いた。
初めて来たラブホテルと言うものに、内装を見渡した。
思ったより普通だった。
何も言わないで着いてきた悟を横目で見た。
「…………シャワー浴びる。」
仁美がそう言うと、悟は目を眉毛を動かした。
随分と警戒している悟に、仁美は目を細めて流し目で見た。
そりゃ警戒するだろう。
散々嫌がっていたのにいきなりラブホだ。
シャワーを浴びながら仁美は目を閉じた。
20年間悟が見せた、自分への異様な執着心。
その奥底には、まだ残っているのでは無いか。
あの時の様に、仁美を想いながら心から幸せそうに笑っている悟が。
キュッとシャワーの蛇口を捻った。
ポタポタと雫が落ちるのを見ながら、仁美は大きく息を吐いた。
「…悟。」
仁美の声に顔を上げて、その目に入った光景に目を細めた。
薄暗い部屋の中を覗く様に、仁美は笑顔で悟を見ていた。
まだ拭かれていない体から、雫がポタポタと落ちる。
仁美は惜しまないで、その身体を悟に見せ付ける。
「そこのバスローブ取って…。」
手を伸ばしてバスローブを指すと。
悟は目を伏せて立ち上がった。
バスローブを手に取ると、ゆっくり仁美に向かった。
悟から目を離さずに、笑いながら仁美は悟を迎える。
その仁美の全てに目眩がしそうだった。
「…… 仁美…「ありがとう。」」
悟の言葉を遮ると、仁美はバスローブを受け取ってまた浴槽のドアを閉めた。
バスローブを差し出した手をギュッと握って、悟はその拳を見ていた。
コレは最後の賭けだった。