【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第10章 今世の約束※
「!きゃあっ!」
ボンッとまた音がして、悟が握っているソファの背もたれが爆発した。
悟は何かに耐える様に悶絶して、背もたれを掴んでいる。
3個の内2個も背もたれが壊れるなんて、どんだけ古いのだろう…。
新しくて、丈夫なソファに見えるのに…。
「…はぁ…仁美…。」
悶絶が終わると悟は仁美の手を握った。
「可笑しいなんて思わない、僕も一緒だから。」
そう言って真剣に見上げる悟の顔に仁美は目を細めた。
悟は仁美の頬に触って懇願する様に仁美を見る。
「…仁美、ここでいいからキスさせて。」
本当はこの可愛い唇にしたい。
でも嫌われたく無いから。
仁美の頬を親指でなぞると、仁美は顔を赤らめて目を伏せた。
悟はグッと胸にくる温かい気持ちを感じながら、ゆっくりと仁美の頬に唇を落とした。
結局その日、悟の唇が触れたのは頬までだった。
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ガタン、カダン、カダン…。
パチっ……。
仁美は電車の揺れる音に目を覚ました。
ぼんやりと周りを見渡すと、3両編成の車両に人はあまり乗っていない。
窓の外はすっかり暗くなっていた。
自分の頬に涙が流れているのに気が付いて、仁美は親指で涙を拭った。
夢で見たのは、20年回帰を繰り返して、記憶が曖昧になっても決して忘れる事の無い。
悟と初めて会った日の夢だった。
(悟も初々しかったけど、私も初々しかったなぁ。)
仁美は夢を思い出して、クスッと笑った。
20年付き合えば、あの頃の気持ちは薄れた付き合い方になっていた。