【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第10章 今世の約束※
「…あのっ私、上條仁美で…。」
悟は優しく笑いながら、吃る仁美の言葉を聞いてくれている。
「…術師は…高専からやっていて…。」
仁美の目からポロポロ涙が出て来た。
「五条さんとは…会った事ありません…。」
涙が止まらないから、仁美は目を瞑って顔を覆った。
「…ああ、怖かったね…。」
顔を覆って泣いている仁美を見て、悟は怖い思いをしたからだと思ったのだろう。
抱いている腕に優しく力が入った。
「もう大丈夫だよ、僕が居るから。」
優しい声が耳元で聞こえて、彼の唇が頬に触れた気がした。
……違う。
涙が出た原因は怖かったからじゃない。
悟を見た瞬間に、胸が熱くなって。
声を聞いたら、胸から込み上げてくる気持ちが涙を流す。
まるで憧れていたアイドルに会えた喜びに近いが全然違う。
会った事も、近くで見た事も無い、ただ名前を聞いた事のある人。
そんな人に何故こんな気持ちになるのか分からなかった。
ただ目が合っただけで、こんなに気持ちを昂らせた事はなかった。
「……五条さんここは…。」
悟に連れて来られた、立派な部屋に仁美は目を丸くして驚いている。
「僕の家だよー、仁美が泣いてたから落ち着かせたくて。」
ニコニコ笑いながら悟は仁美に言った。
リビングだけでも仁美の部屋が何個入るのだろうか。
豪華なそのマンションに、仁美は戸惑ったが、それより仁美を緊張させるのは、今のこの体勢だ。
仁美は悟の膝の上に座らされて、悟の手が肩や腰に触れている。